「崖から飛び込むように、dare は恐怖心や常識の壁を越える挑戦を表します」

📚 意味と用法

dare は、「あえて(危険や困難なこと)をする」「〜する勇気がある」という意味を持つ動詞です。助動詞としても、本動詞としても使われます。

  • 助動詞として: 主に否定文や疑問文で使われ、後に動詞の原形が続きます (例: `I dare not go.`, `Dare you ask?`)。三人称単数でも `-s` をつけないことが多いです。
  • 本動詞として: `dare to do` または `dare do` の形で使われます (例: `He dared to speak.`, `He dared speak.`)。否定文・疑問文では `do/does/did` を使います (例: `He didn’t dare to speak.`)。
  • 挑戦を促す: `I dare you to do` の形で「(できるものなら)〜してみろ」と相手に挑戦を促す際に使われます。
  • 慣用句: `How dare you!` は「よくもそんなことが!」と怒りを表す強い表現です。

挑戦する勇気 (本動詞)

She dared to confront her fears.

(彼女は恐怖に立ち向かう勇気を持った。)

〜する勇気がない (助動詞/本動詞)

I dare not ask. / I don’t dare (to) ask.

(私には尋ねる勇気がない。)

相手への挑戦

I dare you to tell him the truth.

(彼に真実を話してみろよ。)

🕰️ 語源と歴史・エピソード

語源

「dare」は中英語の「durren」、さらに古英語の「durran」に由来します。これらの語は、ゲルマン祖語の「*darsaną」(大胆に行動する、あえて〜する)に遡ります。

この語源は、古代ゲルマン社会において、困難や危険に立ち向かう「勇敢さ」や「大胆さ」が重要視されていた文化を反映しています。

文学における「dare」:シェイクスピア『マクベス』

「dare」が文学作品で効果的に使われる例として、シェイクスピアの『マクベス』があります。野心に駆られたマクベスは葛藤の末、王位簒奪という危険な道へと進む決意を固めます。劇中、「What man dare, I dare.」(人があえてすることなら、私もあえてする)といったセリフに、彼の決意や、破滅へと向かう大胆さが表れています。

シェイクスピアは「dare」を登場人物の勇気、決意、時には無謀さを示すために巧みに用いています。

PROTO-GERMANIC
(*darsaną)
OLD ENGLISH
(durran)
MIDDLE ENGLISH
(durren)
MODERN ENGLISH
(dare)

📋 活用形と関連語 (コロケーション)

Dare の活用形

活用形 英語 発音 備考
原形 dare /der/ 助動詞/本動詞
三人称単数現在形 dares / dare /derz/ /der/ 本動詞はdares、助動詞はdareが多い
過去形 dared / durst /derd/ /dɜːrst/ durstは古風/方言
過去分詞 dared /derd/
現在分詞 / 形容詞 / 名詞 daring /ˈder.ɪŋ/ 「大胆な」「大胆さ」

よく使われる表現 (コロケーション)

  • Daring (形容詞/名詞) – 大胆な/大胆さ
    It was a daring escape. / Her daring is admirable.
  • Daredevil (名詞) – 命知らず、向こう見ず
    He is a real daredevil, always seeking thrills.
  • dare to dream/defy/speak out/challenge/take risks/be different: 夢を見る/逆らう/声を上げる/挑戦する/リスクを取る/違うことをする勇気を持つ
    Dare to be yourself.
  • How dare you!: よくもそんなことを!
    How dare you lie to me!
  • I dare say: おそらく〜だろう(確信はないが)
    I dare say it will rain tomorrow.

🔄 類義語

Challenge (挑戦する)
Risk (危険を冒す)
Venture (思い切って進む、冒険する)
Face (立ち向かう)
Confront (直面する、立ち向かう)

類義語のニュアンスの違い

dare 危険や困難、タブーなどを恐れずに「あえて」行う勇気。挑戦的な態度。
challenge 困難な課題や競争相手に立ち向かうこと。能力を試すような「挑戦」。
venture 危険や不確実性を伴う新しい事業や旅などに「思い切って乗り出す」こと。
risk 損失や失敗の可能性を承知の上で「危険を冒す」こと。

⚡ 反対語

Hesitate (ためらう)
Avoid (避ける)
Shy away (from) (尻込みする、避ける)
Fear (恐れる)
Shrink (from) (尻込みする)

混同しやすい単語

発音が似ているため、以下の単語と混同しないように注意が必要です。

  • Date: 日付、デート
  • Dear: 親愛なる、大切な
“Don’t you dare!” (そんなことするなよ!) vs “What’s the date today?” (今日は何日?) vs “My dear friend.” (親愛なる友よ)

💬 実践的な例文

1

I dare you to jump off the diving board.

(できるものなら)飛び込み台から飛び込んでみろよ

状況: 友人同士で度胸試しをしているとき
2

How dare you speak to me like that!

よくも私にそんな口の利き方ができるな!

状況: 無礼な態度に対して激しく怒っているとき
3

I didn’t dare (to) ask for a raise because I thought they would refuse.

断られると思って昇給を頼む勇気がありませんでした

状況: 不安や恐れから行動できなかったことを説明するとき
4

She dared to confront her fears and skydived for the first time.

彼女はあえて恐怖に立ち向かい、初めてスカイダイビングをしました。

状況: 困難なことに挑戦する勇気ある行動を述べるとき
5

He dared to challenge the authority and express his dissenting opinion.

彼はあえて権威に挑戦し、異議を唱えました。

状況: 反対意見や批判を恐れずに表明する行動を述べるとき

🧠 練習問題

問題 1: 次の文を完成させるのに最も適切な形を選んでください。

He didn’t ______ to speak up during the meeting.

a) dares
b) dare
c) daring
d) dared

解答: b

解説: 否定の助動詞 “didn’t” の後には動詞の原形が来るため、”dare” が適切です。(この場合、dareは本動詞として使われています。Dare to speak up の to が省略されることもあります。)

問題 2: 次の文を完成させるのに最も適切な形を選んでください。

She ______ to challenge the status quo.

a) dares
b) dare
c) daring
d) dared

解答: d

解説: 文脈が過去の出来事を示しているため、過去形の “dared” が適切です。

問題 3: 次の文を完成させるのに最も適切な形を選んでください。

They wouldn’t ______ to go into the haunted house.

a) dares
b) dare
c) daring
d) dared

解答: b

解説: 助動詞 “wouldn’t” の後には動詞の原形が来るため、”dare” が適切です。(この場合も本動詞としてのdareです。)

問題 4: 次の文を完成させるのに最も適切な形を選んでください。

Do you ______ to tell the truth?

a) dares
b) dare
c) daring
d) dared

解答: b

解説: 疑問文を作る助動詞 “Do” の後、主語 “you” の後には動詞の原形が来るため、”dare” が適切です。(本動詞としてのdare)

問題 5: 次の文を完成させるのに最も適切な形を選んでください。

He ______ not enter the dark forest alone.

a) dares
b) dare
c) daring
d) dared

解答: b

解説: この文は “He dare not enter…” の形をとっており、dare が助動詞として使われています。助動詞 dare は、否定文で `dare not + 動詞の原形` の形をとります。主語が三人称単数 (He) であっても、助動詞の場合は -s をつけずに “dare” を使います。