「重い荷物を肩で支え運ぶ姿、辛い状況にじっと耐える心、大地に根を張り実を結ぶ木のように、bear は支え、耐え、生み出す力を象徴する」
📚 意味と用法
bear は非常に多義的な動詞で、文脈によって意味が大きく異なります。不規則動詞である点にも注意が必要です。
主な意味
- (困難・苦痛・不快なことに)耐える、我慢する (endure, tolerate): (can/could not bear … / can’t bear to do / can’t bear doing の形でよく使われる)
例: I can’t bear the noise any longer. (もうこの騒音には耐えられない。) / How can you bear living in this heat? (どうしてこの暑さの中で生活するのを我慢できるの?) - (重さ・責任・費用などを)支える、負う、負担する (support, accept responsibility/cost):
例: The ice is too thin to bear your weight. (氷が薄すぎて君の体重を支えられない。) / bear the cost (費用を負担する) / bear the burden (重荷を負う) / bear the consequences (結果を受け入れる) - (物・人を)運ぶ、持つ、携帯する (carry): (ややフォーマル)
例: The protesters were bearing banners. (デモ隊は横断幕を掲げていた。) - (子を)産む (give birth to): (過去分詞は通常 born)
例: She bore three children. (彼女は3人の子供を産んだ。) / I was born in Tokyo. (私は東京で生まれた。) - (実・花などを)つける、結ぶ (produce fruit/flowers):
例: This tree bears fruit every year. (この木は毎年実をつける。) - (名前・称号・特徴・類似性などを)持つ、帯びる (have/show a quality/feature):
例: bear a resemblance to… (~に似ている) / The document bears his signature. (その書類には彼の署名がある。) - (特定の方向に)向かう、進む (go in a direction): (bear left/right/north など)
例: Bear left at the next junction. (次の分岐点で左に進んでください。) - 心に留める、覚えておく (bear in mind): (慣用句)
例: Bear in mind that prices may vary. (価格は変動する可能性があることを心に留めておいてください。) - 証言する (bear witness): (慣用句)
例: He agreed to bear witness at the trial. (彼は裁判で証言することに同意した。)
注意: 名詞の bear は「クマ(熊)」を意味します。文脈で判断が必要です。
🕰️ 語源と歴史
「Bear」の語源は、古英語の動詞「beran」で、これは「運ぶ、持っていく、産む、耐える」など、すでに多くの意味を持っていました。
この「beran」はゲルマン祖語の「*beranan」に由来し、さらにインド・ヨーロッパ祖語の根「*bher-」(運ぶ、持つ)に遡ります。この根は非常に多くの言語に影響を与えており、ラテン語の「ferre」(運ぶ、英語の infer, refer, transfer など)やギリシャ語の「pherein」(運ぶ)なども同語源です。
「運ぶ」という核となる意味から、物理的に重荷を運ぶ → 耐える、子供をお腹で運ぶ → 産む、実を運ぶ(つける) → 実を結ぶ、特徴を身に運ぶ → 特徴を持つ、特定の方向へ身を運ぶ → 向かう、といった多様な意味が派生しました。
📋 活用形と派生語
Bear の活用形 (不規則動詞)
活用形 | 英語 | 発音 |
---|---|---|
原形 | bear | beər |
三人称単数現在形 | bears | beərz |
過去形 | bore | bɔːr |
過去分詞 | borne / born | bɔːn |
現在分詞 | bearing | ˈbeərɪŋ |
Borne vs. Born: 過去分詞は通常 borne を使いますが、「(子を)産む」の意味の受動態 (be born) では born を使います。(例: Three children were borne by her. / She was born in 1990.)
派生語と関連語
- Bearer (名詞) – 運搬人、持参人、保持者
a pallbearer (棺を担ぐ人) / the bearer of bad news (悪い知らせの運び手)
- Bearing (名詞) – 態度、物腰、関連、方向、方位
a man of noble bearing (高貴な物腰の男性) / This information has no bearing on the case. (この情報は事件に関係ない。) / take one’s bearings (方位を測る)
- Bearable (形容詞) – 耐えられる、我慢できる
The heat was barely bearable.
- Unbearable (形容詞) – 耐えられない、我慢できない
The pain was unbearable.
🔄 類義語
「耐える」
「運ぶ、持つ」
「産む」
⚡ 反対語
「耐える」の反対
「運ぶ、持つ」の反対
混同しやすい単語: Bear vs Bare
動詞の Bear (/beər/) と形容詞/動詞の Bare (/beər/) は発音が同じ (同音異義語) ですが、意味は全く異なります。
- Bear: 耐える、運ぶ、産む、持つ
- Bare: 裸の、むき出しの / ~をむき出しにする
💬 実践的な例文
She couldn’t bear the constant criticism from her boss.
彼女は上司からの絶え間ない批判に耐えられなかった。(意味: 耐える)
These columns bear the weight of the entire roof.
これらの柱が屋根全体の重さを支えている。(意味: 支える)
He was bearing a heavy backpack.
彼は重いバックパックを背負っていた(運んでいた)。(意味: 運ぶ)
Apple trees bear fruit in the autumn.
リンゴの木は秋に実をつける。(意味: 実を結ぶ)
Please bear in mind that the deadline is next Friday.
締切が来週の金曜日であることを心に留めておいてください。(慣用句)
🧠 練習問題
以下の空欄に入る最も適切な単語を選んでください。
1. The old bridge could no longer __________ the weight of heavy trucks.
解説:
助動詞 “could no longer” の後には動詞の原形がきます。「支える、耐える」という意味の動詞の原形 “bear” が適切です。
2. The company logo __________ a strong resemblance to a famous brand.
解説:
主語 “The company logo” は三人称単数なので、現在形の動詞には -s が付きます。「持つ、帯びる」という意味の動詞 bear の三人称単数現在形 “bears” が適切です。”bear a resemblance to” で「~に似ている」となります。
3. She __________ three children in five years.
解説:
文脈は過去の出来事を示しています。「産んだ」という意味の動詞 bear の過去形 “bore” が適切です。