「古の響き、withal が添える文の趣」
📚 意味と用法
withal は、現代ではほとんど使われない古風な副詞です。主に3つの意味があります。一つは「その上」「それに加えて」(in addition)。二つ目は「それでもなお」(nevertheless)。三つ目は、文末に置かれて、文頭にあれば `with` で始まる句と同じ意味を表す用法です。シェイクスピアなどの古典文学や、古風な雰囲気を出すために意図的に使われることがあります。
その上 (In addition)
He was a handsome man, and a scholar withal.
(彼はハンサムな男で、その上学者でもあった。)
文末の with として (As ‘with’ at the end)
I have no money to buy a ticket withal.
(私には切符を買うためのお金がない。 – “with which to buy a ticket” と同義)
🕰️ 語源と歴史
「Withal」は、中英語で「with all」というフレーズが一つになったものです。「with」は「~と共に、~に対して」、「all」は「全て」を意味します。元々は「完全に、全く」という強調の意味合いで使われていましたが、次第に「それに加えて」や「それにもかかわらず」といった接続的な意味を持つようになりました。文末に置かれる用法は、`therewith` や `wherewith` と同じような古風な構造です。
🔄 類義語 (似た意味の言葉)
⚡ 対義語 (文脈による)
関連する対比
Withal (その上) は情報を付け加えるのに対し、instead (その代わりに) は代替案を示します。この単語は非常に古風なため、現代英語での直接的な対義語を見つけるのは難しいですが、文脈上は「追加」と「代替」の対比が考えられます。
💬 実践的な例文
It was a small house, but a comfortable one withal.
それは小さな家だったが、それでもなお快適な家だった。
She is a talented musician and a gifted painter withal.
彼女は才能ある音楽家であり、その上、天賦の才能を持つ画家でもある。
He had no tools to mend the fence withal.
彼にはその柵を修理するための道具がなかった。
The journey was long and perilous, and cold withal.
旅は長く危険で、その上寒かった。
“A sad tale’s best for winter: I have one of sprites and goblins.” “Let’s have that, good sir.” “And so it is, and good withal.”
「冬には悲しい話が一番です。妖精とゴブリンの話があります。」「それを聞きましょう。」「そういう話で、その上良い話ですよ。」(シェイクスピア風)
🧠 練習問題
以下の空欄に入る最も適切な単語を選んでください。
1. Withal is considered an ______ word in modern English.
解説:
Withalは現代英語では「古風な(archaic)」言葉と見なされています。
2. “He was a great king, and a kind man ______.” What does withal mean here?
解説:
この文脈では、「その上、また(also)」という意味で使われています。
3. The word withal is a combination of “with” and “______”.
解説:
Withalは “with” と “all” が一つになった言葉です。
4. A modern synonym for withal is ______.
解説:
Withalが持つ意味の一つ「それでもなお」は、現代では nevertheless と表現されます。
5. “I have no pen to write ______.”
解説:
文末に置かれて「~で」という手段を表す古風な用法です。現代英語の “I have no pen to write with.” と同じ意味になります。