リバシー先生にやり込められてから間もなく、ついにキャプテンを厄介払いするような事件がおきた。昔の船乗り仲間のブラック・ドッグが現われたのだ。追いつめられたキャプテン。突然のすざまじい罵声や騒音、椅子やテーブルがいっせいにひっくりかえされ、剣のぶつかり合いの音が続き、苦悶の叫びがあがった。

こっちにきなよ、ビル。俺が分かるだろ。昔の船乗り仲間じゃないか、よもや忘れたとは言わせないぞ、ビル。と見知らぬ男はいった。キャプテンは一種のあえぎ声をあげ、「ブラック・ドッグ!」といった。「他に誰がいるというんだい?」もう一人の男は、だんだんと落ち着きを取り戻し答えた。