4-1-1.貝の言葉ふたたび
ムラサキ極楽鳥のミランダは天候に恵まれると予言したが、その予想は的中した。三週間もの間、ダイシャクシギ号は安定した強風を受けほほ笑むような穏やかな海を順調に進んでいた。
4-1-2.貝の言葉ふたたび
先生はしばらくカニ(のおしゃべり)に耳を傾けてたけどうまくいかず、今度はフィジットを水槽に入れ、それに耳を傾け始めた。
4-2-1.フィジットの話
さて、先生がかつての楽しみだった貝の言葉に再び着手すると、先生を止めることは誰にもできなかった。先生は夜通し働いた。
4-2-2.フィジットの話
「ここでは、ひげを生やし、眼鏡をかけたおじいさんが二人、僕らの上に身を屈め、奇妙な声を立てていました。僕らと同時に小ダラも何匹か網にかかっていました。
4-2-3.フィジットの話
こうして、この陰気な場所で丸1年が過ぎました。新しい魚が他の水槽に入れられる日もあれば、古い魚が取り出される日もありました。
4-2-4.フィジットの話
妹は鼻をすすり完全に泣き崩れてしまいました。『止めろよ!』と僕は言いました。『僕までホームシックになってしまうよ。
4-2-5.フィジットの話
ついにおじいさんは波止場に着くと、最後に僕らを悲しそうに見てから港の水の中へ落としました。顔が潮のしめりに包まれるのを感じた、その瞬間ほど、ぞくぞくするような感動を実感できたことはありませんでした。
4-2-6.フィジットの話
フィジット:「ああ、とんでもない。できればそうしたいのですが、彼は普通の魚にはとても見つけられません。
4-3-1.悪天候
カーリュー号を再び軌道に乗せるとすぐ、私は奇妙なことに気づいた。(船が)これまでと同じスピードで進まないのです。追い風がほとんどまったくなくなってしまったのだ。
4-3-2.悪天候
いかにも、空全体が恐ろしい様子になってきた。東側のびている黒い線は近づくにつれ、より黒さを増していった。低く、ゴロゴロといったざわめくような音が海の上にうめき渡って響いていた。
4-4-1.難破
目が覚めた時は頭の中がぼんやりとしていた。空は青く海は穏やかだった。最初、私はカーリュー号の甲板で日向ぼっこをしながら眠ってしまったに違いないと思っていたのだ。
4-4-2.難破
私は胸を張って襟のボタンを留め、短いいかだを行ったり来たりしながら暖をとり始めた。ジョン・ドリトル先生みたいになるのだ。泣いたり、騒いだりはしない。
4-5-1.陸地
私が自分の半分の船からみんなの半分へと乗り移ると、みんなは大歓迎をしてくれた。バンポは樽からくんだ新鮮な水を僕にくれた。
4-5-2.陸地
朝早く、明るくなるずっと前から、私たちはみんな目が覚めていた。はるばる遠くからやってきたこの島[国]を、早く見たいと待っていたのだ。
4-6-1.ジャビズリー
丘のふもとの森は樹々が濃く生い茂り、絡まっていて、通り抜けるには難しいことがわかった。ポリネシアの助言に従い、インディアンに会わないのが一番だと思い、さしあたっては、あらゆる道や小道を避けてゆきました。
4-6-2.ジャビズリー
「手紙だね」と先生は言った。「絵文字の手紙だな。この小さな絵を寄せ集めるとメッセージになっているようだ。
4-7-1.鷹頭山
後になって、私たちはみんなあの日ほど頑張ったことはないと互いに認めた。私などは、疲労でへとへとになってしまって、ときどき倒れそうになることもあった。
4-7-2.鷹頭山
「では、お聞きください」とポリネシアは言った。「先生のお考え通りなら、つまり、ロング・アローが落石で山の中に閉じ込められたとしたら、
4-7-3.鷹頭山
それは私の人生でいちばん面倒くさい経験だった。カブトムシの後を落ち葉などで見失わないように、鷹のように目を見張ってとぼとぼついて行っているうちに、私たちはどんどんイライラ不機嫌になってしまい、お互いに食ってかかりそうになってしまった。