『若草物語』英文/和訳【12-5. キャンプ・ローレンス】

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翻訳者:kie_takazawa

原文
音声

“Having taken the pirate captain prisoner, sailed slap[ピシャリと] over the schooner,[帆船の一種] whose decks were piled[〈ものなどを〉積み重ねる] high with dead and whose lee scuppers[甲板排水口] ran blood,

海賊船長を捕虜にしてスクーナー船にぴったりとくっつけて航行すると、甲板には死者がうず高く積み上げられ、風下排水溝には血が流れていた。

for the order had been ‘Cutlasses, and die hard!’ ‘Bosun’s mate, take a bight[ロープの輪で固定する] of the flying-jib[船首斜檣] sheet,[敷布, シーツ]

と言うのも『を持って死ぬまで戦え!』と命令が出ていたからだ。『水夫長、フライングジブの布で縛ってしまえ!

and start this villain if he doesn’t confess[告白する, 白状する] his sins double quick,’[駆け足の,急いで] said the British captain.

もしこいつがとっとと罪を白状しなかったら、手始めにこの悪党からやっちまえ』と英国のキャプテンは言った。

The Portuguese held his tongue[口をつぐむ] like a brick,[れんが] and walked the plank, while the jolly tars[水夫] cheered like mad.

ポルトガル人石のように押し黙り、の上を歩き、陽気な船乗りは狂ったように歓声をあげた。

But the sly dog dived, came up under the man-of-war, scuttled[穴をあけて船を沈める] her, and down she went, with all sail set, ‘To the bottom of the sea, sea, sea’ where…”

しかし、ずる賢いやつ[犬]は海に飛び込み、軍艦の下にやってきて、船底に穴をあけてしまった。船は帆を張ったまま沈んで行った『海、海、海の底に』その行く先は…」

“Oh, gracious! What shall I say?” cried Sallie, as Fred ended his rigmarole,

「あらまあ!何を話せばいいのかしら?」フレッドのくだらない長話が終わるとサリーは叫んだ。

in which he had jumbled together pell-mell[乱雑に, めちゃくちゃに] nautical phrases and facts out of one of his favorite books.

フレッドの話は、めちゃくちゃな航海用語や、お気に入りの本の一節の記述[事実]などをごちゃ混ぜにしたものだった。

“Well, they went to the bottom, and a nice mermaid welcomed them, but was much grieved on finding the box of headless knights,

「ええと、彼らが海底に沈んでいくと、親切な人魚が彼らを出迎えました。人魚は首のない騎士たちの箱を見つけたときはとても悲しんで、

and kindly pickled them in brine,[(食品を保存しておくために大量の塩を入れた)塩水, 海水] hoping to discover the mystery about them, for being a woman, she was curious.

彼らの謎を解き明かすことを期待して、親切にも首無し騎士たちを海水に漬け込んでくれました。人魚は女性だったので、好奇心が強かったのです。

By-and-by a diver came down, and the mermaid said, ‘I’ll give you a box of pearls if you can take it up,’

まもなく一人の潜水夫が降りてきて、人魚は『もしあなたがこの箱を陸にまで持って上がることができるなら、(この中に入っている)箱いっぱいの真珠をあげます』と言いました。

for she wanted to restore the poor things to life, and couldn’t raise the heavy load herself.

この可哀そうな騎士たちを生き返らせ【る】たかったのですが、重い荷物を自分で引き上げることができなかったのです。

So the diver hoisted it up,[重い物を引き上げる] and was much disappointed on opening it to find no pearls.

そこで潜水夫はそれを陸にあげ、開けてみて真珠がないのを知ると、とてもがっかりしました。

He left it in a great lonely field, where it was found by a…”

彼はそれを広い荒野に置き去りにしました。それを見つけたのは…」

“Little goose girl, who kept a hundred fat geese[goose の複数形] in the field,” said Amy, when Sallie’s invention[発明, 創案] gave out.[なくなる]

「小さなガチョウ飼いの少女で、彼女は100羽のまるまると太ったガチョウを野原で飼っていました」とエイミーは、サリーの作り話が尽きたところで話し出した。

“The little girl was sorry for them, and asked an old woman what she should do to help them. ‘Your geese will tell you, they know everything.’ said the old woman.

「少女はかわいそうに思って、おばあさんにどうすれば助けられるかと尋ねました。『お前のガチョウが教えてくれるだろうよ、彼らは何でも知っているからね』と、おばあさんは言いました。

So she asked what she should use for new heads, since the old ones were lost, and all the geese opened their hundred mouths and screamed…”

そこで少女は古い頭は無くなっているから新しい頭には何を使えばいいのかと聞きました。百匹のすべてのガチョウが皆口を開けて金切り声をあげました…」

“‘Cabbages!'” continued Laurie promptly. “‘Just the thing,’[まさにそれよ] said the girl, and ran to get twelve fine ones from her garden.

「『キャベツ!』ローリーは即座に続けた。『それがいいわ』と少女は言って、菜園から良いキャベツを12個、走って取ってきました。

She put them on, the knights revived at once, thanked her, and went on their way rejoicing, never knowing the difference,

彼女はキャベツを彼らにつけてやると、騎士たちはすぐに生き返り、少女に感謝して、(前の首と)違うことなど知らずに、喜びながらそれぞれの道を進んで行きました。

for there were so many other heads like them in the world that no one thought anything of it.

世界中には彼らのような頭が他にもたくさんあって、誰もそれについて気にしたりはしません。

The knight in whom I’m interested went back to find the pretty face, and learned that the princesses had spun themselves free and all gone and married, but one.

僕が興味を持っている例の騎士は、きれいな顔のお姫様を見つけに戻って行ったのですが、たった一人を除いて、お姫さまたちは自由になれるだけの糸を紡いで皆結婚して去って行ったことを知ったのです。

He was in a great state of mind at that, and mounting the colt, who stood by him through thick[厚い, 厚みのある] and thin[薄い, 厚みのない], rushed to the castle to see which was left.

彼はそのことを知ると感極まり、どんな時も彼のそばにいてくれた子馬にまたがって、誰が残っているかを見るため城に急ぎました。

Peeping over the hedge,[生け垣, 垣根] he saw the queen of his affections picking[選び取る] flowers in her garden.

垣根の上を覗いてみると、愛する姫君が庭で花を摘んでいるのが見えました。

‘Will you give me a rose?’ said he. ‘You must come and get it. I can’t come to you, it isn’t proper,’[ふさわしい, ちゃんとした] said she, as sweet as honey.

『バラをくれませんか?』と彼は言いました。『取りに来てください。私はあなたのところに行けません、お行儀のいいことではありませんから』と彼女は蜂蜜のように甘く言った。

He tried to climb over the hedge, but it seemed to grow higher and higher.

彼は垣根をよじ登ろうとしたが、だんだん高くなっていくようだった。

Then he tried to push through,[押し通す, 無理に押し通す] but it grew thicker and thicker, and he was in despair.

そして生垣を突き抜け【る】ようともしてみましたが、どんどんと分厚くなり彼は絶望してしまいました。

So he patiently broke twig after twig till he had made a little hole through which he peeped,

そこで、小枝を辛抱強く一本ずつ折って、小さな穴を開けて覗き込みました。

saying imploringly,[嘆願して,哀願するように] ‘Let me in! Let me in!’ But the pretty princess did not seem to understand, for she picked her roses quietly, and left him to fight his way in.

『入れて下さい!』『入れて下さい!』と頼み込んでみましたが、かわいらしいお姫さまには何も分からないかのように、静かにバラの花を摘んでいるだけでした。必死に入ろうともがいている彼を取り残したままにして。

Whether he did or not, Frank will tell you.”

彼が入れたか入れなかったかは、フランクがお話します」

“I can’t. I’m not playing, I never do,” said Frank, dismayed at the sentimental predicament[苦境, 窮地] out of which he was to rescue the absurd[道理に反した, ばかげた] couple.

「出来ないよ。僕はゲームに入ってないもの。やったこともないし」と、このお涙ちょうだい的な苦境に立たされたばかげたカップルを救い出さなければならなくなったフランクは狼狽えた。

Beth had disappeared behind Jo, and Grace was asleep.

ベスはジョーの後ろに隠れて、グレースは眠っていた。

“So the poor knight is to be left sticking[くっついて] in the hedge, is he?” asked Mr. Brooke, still watching the river, and playing with the wild rose in his buttonhole.

「じゃあ、かわいそうな騎士は垣根の中にはまり込んでいなければならないんですね?」とブルック氏は、川を見つめたまま、ボタン穴に差した野バラをいじりながら尋ねた。

“I guess the princess gave him a posy, and opened the gate after a while,” said Laurie, smiling to himself, as he threw acorns at his tutor.

「お姫さまは王子に花束をあげて、しばらくして門を開けたんじゃないかな」とローリーは笑いながら言い、家庭教師どんぐりを投げつけた。

“What a piece of nonsense we have made! With practice we might do something quite clever. Do you know Truth?”

「私たちはなんてバカらしいお話を作っちゃったんでしょう!練習すれば、なかなか気の利いた話ができるかもね。ところで、あなた『真実』って知ってる?」

“I hope so,” said Meg soberly.

「たぶん[私もそう願う]」メグは真面目に言った。

“The game, I mean?”

「ゲームの事よ?」

“What is it?” said Fred.

「何それ?」とフレッド

“Why, you pile up your hands, choose a number, and draw out in turn,

「ええとね、手を重ねて、ある数を決めて、それから、みんなが順番にを引いていくの。

and the person who draws at the number has to answer truly any question put by the rest. It’s great fun.”

その数で手を引き当てた人は、他の人のどんな質問にも正直に答えなければならないの。とても楽しいわよ」

“Let’s try it,” said Jo, who liked new experiments.

「やってみようよ」と、新しい試みが好きなジョーが言った。

Miss Kate and Mr. Brooke, Meg, and Ned declined, but Fred, Sallie, Jo, and Laurie piled and drew, and the lot fell to Laurie.

ミス・ケイトとブルック氏、メグとネッドは断ったが、フレッド、サリー、ジョー、ローリーは手を重ね、引っ込めていった。くじはローリーに当たった。

“Who are your heroes?” asked Jo.

「あなたの尊敬する人は?」ジョーが尋ねた。

“Grandfather and Napoleon.”

「おじい様とナポレオン」

“Which lady here do you think prettiest?” said Sallie.

「この中で一番きれいなのは誰?」とサリー。

“Margaret.”

「マーガレット」

“Which do you like best?” from Fred.

「一番好きな人は?」とフレッドから。

“Jo, of course.”

「もちろんジョーだよ」

“What silly questions you ask!” And Jo gave a disdainful[軽蔑的な] shrug as the rest laughed at Laurie’s matter-of-fact tone.[事務的な淡々とした]

「なんてバカなこと聞くのよ!」とジョーは軽蔑したように肩をすくめ、皆はローリーの当たり前だという口ぶりに笑った。

“Try again. Truth isn’t a bad game,” said Fred.

「もう一回やろうよ、『真実』ってなかなか面白いね」とフレッドが言った。

“It’s a very good one for you,” retorted Jo in a low voice.

「あんたにはとってもいいゲームよね」ジョーは小声で言い返した。

Her turn came next.

次はジョーの番だった。

“What is your greatest fault?” asked Fred, by way of testing in her the virtue he lacked himself.

「最大の欠点は?」とフレッドは尋ね、自分に欠けている美徳が彼女はどうかと試してみたのだ。

“A quick temper.”

「短気なところ」

“What do you most wish for?” said Laurie.

「一番の願いは何?」とローリー

“A pair of boot lacings,” returned Jo, guessing[推測する] and defeating his purpose.

「靴紐よ」とジョーは彼の意図を察してやっつけるように返した。

“Not a true answer. You must say what you really do want most.”

「本当の答えじゃないね。本当に一番欲しいものを言わなきゃだめだよ」

“Genius. Don’t you wish you could give it to me, Laurie?” And she slyly smiled in his disappointed face.

「非凡な才能ね。その才能を私にくれてやれたらって思わない、ローリー?」ローリーのがっかりした顔に、彼女はちゃめっ気たっぷりに微笑んだ。

“What virtues do you most admire[敬う] in a man?” asked Sallie.

「男の人の美徳であなたが最も大切だと思うのはなに?」とサリーが尋ねた。

“Courage and honesty.”

「勇気があることと正直であること」

“Now my turn,” said Fred, as his hand came last.

「じゃ今度は僕の番だ」と、自分の手の番が最後にきたとき、フレッドは言った。

“Let’s give it to him,” whispered Laurie to Jo, who nodded and asked at once…

「やってやろうよ」とローリーがジョーに囁き、そしてジョーは頷いてすぐに尋ねた…

“Didn’t you cheat at croquet?”

「クロッケーでズル【をする】しなかった?」

“Well, yes, a little bit.”

「ええと、はい、ちょっとだけ」

“Good! Didn’t you take your story out of The Sea Lion?” said Laurie.

「よし!君の話は『海のライオン』から取ったんじゃないのかな?」とローリー。

“Rather.”

「まあ、そんな感じ」

“Don’t you think the English nation perfect in every respect?” asked Sallie.

「イギリス国民はあらゆる点で完璧だと思いませんか?」とサリーが尋ねた。

“I should be ashamed of myself if I didn’t.”

「もしそう思わなかったら、自分を恥ずかしく思うだろうね」