『ドリトル先生航海記』 英文/和訳 【3-4-2.苦労は続く】

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翻訳者:satoyayo4080

原文
音声

So we went downstairs into the store-room and Polynesia told us to keep quite still and listen. This we did.

私たちが階下の貯蔵室に行くと、ポリネシアはみんなに静かにして耳をすますように言った。私たちはその通りにした。

And presently we heard from a dark corner of the hold[(航海用語)船倉] the distinct sound of someone snoring.

まもなく、船倉の隅の暗がりから誰かのいびきはっきりと聞こえてきた。

“Ah, I thought so,” said Polynesia. “It’s a man—and a big one.

「あぁ、そうだと思ったわ」とポリネシアは言った。「男です。しかも大男ね。

Climb in there, both of you, and haul him out. It sounds as though he were behind that barrel—Gosh!

ふたりでそこに登って、引っ張り出して。(いびきは)あのの後ろから聞こえるようだわ!まったく!

We seem to have brought half of Puddleby with us. Anyone would think we were a penny ferry-boat.[1ドルフェリーボート] Such cheek! Haul him out.”

パドルビーの(人間)半分を連れてきたようだわ。誰も彼もが、私たちのことを水上バスだとでも思っているようね。まったく厚かましい!そいつを運び出して」

So Bumpo and I lit a lantern and climbed over the stores.

そこで、バンポと私は手さげランプを灯し、貯蔵所の上をよじ登った。

And there, behind the barrel, sure enough, we found an enormous[巨大な] bearded[あごひげのある] man fast asleep with a well-fed[食べ物がいい] look on his face.

そして、の後ろには、確かに、あごひげの大男が、よく食べたという顔をして爆睡していたのだ。

We woke him up.

私たちはそいつを起こした。

“Washamarrer?”[What’s the matter?] he said sleepily.

「何だ、何だ?」とそいつは眠そうに言った。

It was Ben Butcher, the able seaman.

そいつは、腕利きの船員であるベン・ブッチャーだった。

Polynesia spluttered[(興奮・怒りなどによる)わけのわからないしゃべり方] like an angry fire-cracker.[爆竹, かんしゃく玉]

ポリネシアは怒り狂った癇癪玉のようにカンカンになってわめいた。

“This is the last straw,”[無価値なもの,つまらないもの] said she. “The one man in the world we least wanted. Shiver[震える] my timbers,[材木] what cheek!”

「これが最後のやっかいものね」と彼女は言った。「この世でいちばんいて欲しくない男。やれやれ、なんて図々しいの!」

“Would it not be, advisable,[賢明で,望ましい] suggested Bumpo, “while the varlet is still sleepy, to strike him on the head with some heavy object and push him through a port-hole into the sea?”

「この悪党がまだ寝ている間に、重いもので頭を殴り、船窓から海に突き落とすのはどうだろう?」とバンポが提案した。

“No. We’d get into trouble,” said Polynesia.

「いいえ。(そんなことをすれば)面倒なことになるわ」とポリネシアは言った。

“We’re not in Jolliginki now, you know—worse luck!—Besides, there never was a port-hole[舷窓] big enough to push that man through.

「ここはもうジョリギンキではないからね。それにあいにく、あの男を放り出せるほど大きなはありません。

Bring him upstairs to the Doctor.”

二階にいる先生のところへ連れて行ってゆきましょう」

So we led the man to the wheel where he respectfully touched his cap to the Doctor.

そこで私たちは、その大男を船の舵輪のところに連れて行くと、大男はうやうやしく手を帽子のふちにあてて先生にあいさつをした。

“Another stowaway, Sir,” said Bumpo smartly.

「また密航者です、先生」とバンポはびしっと言った。

I thought the poor Doctor would have a fit.[びっくりする, ひどく腹を立てる]

私は、先生がお怒りになるかと思った。

“Good morning, Captain,” said the man. “Ben Butcher, able seaman, at your service. I knew you’d need me, so I took the liberty of stowing away—much against my conscience.[良心, 道義心]

「おはようございます、先生」とその男は言った。「ベン・ブッチャー、腕利きの船乗りになんなりとお申しつけください。きっとわしのことが必要になると思ったので、大変気が咎めましたが、勝手ながら密航しました。

But I just couldn’t bear to see you poor landsmen[陸上生活者]set out on[…に出発する] this voyage without a single real seaman to help you.

しかし、わしには、あなた方のような不慣れな陸の者が、本物の船乗りの助けをひとりも借りずに航海に出るなんて見てられなかったもんでね。

You’d never have got home alive if I hadn’t come—Why look at your mainsail, Sir—all loose at the throat.

わしが来てなかったら、生きて帰ってこれなかっただろうね。だって、ほら、この主帆を見てくださいよ、船長。首元がみんなゆるんでるじゃないですか。

First gust of wind come along,[やってくる] and away goes your canvas overboard[(船から)水中に]

突風吹けばすぐに[最初にやってくる突風で]海に飛んでしまいますぜ。

Well, it’s all right now I’m here. We’ll soon get things in shipshape.”[きちんとして, 整然として]

だがわしがここにいれば大丈夫。すぐに元通りにしてさしあげますよ」

“No, it isn’t all right,” said the Doctor, “it’s all wrong. And I’m not at all glad to see you. I told you in Puddleby I didn’t want you. You had no right to come.”

「いや、全然大丈夫じゃないよ」と先生は言った。「すべて間違っている。君に会っても全然嬉しくない。わしはパドルビーで君に会いたくないと言っただろう。君にここに来る権利はない」

“But Captain,” said the able seaman, “you can’t sail this ship without me. You don’t understand navigation.

「しかし船長」と腕利きの船乗りは言った。「わしがいなければこの船は動かせませんぞ。あなたは航海を理解していない。

Why, look at the compass now: you’ve let her swing a point and a half off her course.

ほら、羅針盤を見てくださいよ。コースから1度半ずれていますよ。

It’s madness for you to try to do this trip alone—if you’ll pardon my saying so, Sir.

この旅を一人でやろうとするのは狂気の沙汰だ。こう言っては失礼だが… 船長。

Why—why, you’ll lose the ship!”

この船を失いますぜ!」

“Look here,” said the Doctor, a sudden stern[厳格な, 断固たる] look coming into his eyes, “losing a ship is nothing to me. I’ve lost ships before and it doesn’t bother me in the least.

「いいかい」先生は、急に厳しい目つきに変わって言った。「船を失うことはわしにとっては何でもないことだ。以前も船を失ったことはあったが、まったく気にならないよ。

When I set out[出発する,着手する] to go to a place, I get there. Do you understand? I may know nothing whatever about sailing and navigation, but I get there just the same.

わしはどこかに行こうとすれば、必ずそこに着く。わかるかい?わしは船旅や航海術のことは何も知らないが、(腕利きの船乗りと同じように)そこにたどり着くことができる。

Now you may be the best seaman in the world, but on this ship you’re just a plain ordinary nuisance—very plain and very ordinary.

君は世界で一番の船乗りかもしれないが、この船においては、ごく普通のありきたりな迷惑者だ。実に平凡で、実にありきたりだ。

And I am now going to call at[立ち寄る] the nearest port and put you ashore.”[上陸させる]

それで、これから最寄りの港に寄港して、君をおろすつもりだ」

“Yes, and think yourself lucky,” Polynesia put in, “that you are not locked up for stowing away and eating all our salt beef.”

「まったく。有難いと思うことね」とポリネシアは口をはさんだ。「密航して我々の塩漬け牛肉を全部食べたのに、監禁され【る】ないで済んだんだからね」

“I don’t know what the mischief[(人またはその他の要因による)損害,被害] we’re going to do now,” I heard her whisper to Bumpo.

「いったい、これからどんなことになるのやら…」とポリネシアがバンポにこっそり話しているのが聞こえた。

“We’ve no money to buy any more; and that salt beef was the most important part of the stores.”[(陸軍・海軍などの)衣食の備え]

「もう何かを買うお金はないし、あの牛肉の塩漬けは、いちばん大事な食糧だったのに」

“Would it not be good political economy,[政治経済学] Bumpo whispered back, “if we salted the able seaman and ate him instead?

バンポは「だったら…、この腕利きの船乗りを塩漬けして、食べたらどうだろう?」とささやき返した。

I should judge that he would weigh more than a hundred and twenty pounds.”[1ポンド約0.45キロ]

彼の体重が120ポンド以上になると思うよ」

“How often must I tell you that we are not in Jolliginki,” snapped[~にぴしっと言う] Polynesia. “Those things are not done on white men’s ships—Still,” she murmured after a moment’s thought,

「ここはジョリギンキでないと、何度言ったらわかるんですか」とポリネシアはぴしゃりと言った。「白人の船ではそういうことはしません。でも…」とちょっと考えてからつぶやいた。

“it’s an awfully bright idea.[上手い考え]I don’t suppose anybody saw him come on to the ship—Oh, but Heavens!

「とても名案だわ。誰もこの大男が船に乗ってくるのを見ていないだろうし…。あぁ、でもだめだわ!

we haven’t got enough salt. Besides, he’d be sure to taste of tobacco.”

塩が足りないし、タバコの味がしそうだもの」

対訳を使った瞬間英作文の練習

和訳を使った瞬間英作文の練習には①スマホでスクロールを上手に活用して和訳と英文を交互に見るか、②パソコンの場合なら下記のクイズレットの単語カードを利用する、のが便利です。模範解答である英文を見ることでよりネィティブに近い表現力を身につけることができます。

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