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翻訳者:中務秀典
But alas! even the Three, mighty though they were, could not last forever against an army which seemed to have no end. In one of the hottest scrimmages, when the enemy had broken a particularly wide hole through the fence,
しかし ああ無情! いかに 強大 な三人とはいえ、 終わりの見えない大軍の前に永遠に持ちこたえることはできませんでした。 激しい 混戦 の最中、 敵が柵に 特に 大きな穴をあけたとき、
I saw Long Arrow’s great figure topple and come down with a spear sticking in his broad chest.
私はロングアローのたくましい体が ぐらりと倒れ 、 槍 が 幅広い 胸 に突き刺さったまま地面に落ちるのを目撃しました。
For another half-hour Bumpo and the Doctor fought on side by side. How their strength held out I cannot tell, for never a second were they given to rest their arms.
その後さらに30分間、バンポとドクターは 肩を並べて 戦い続けました。 彼らの体力がどうしてそこまで持ったのか分かりません。 一瞬たりとも武器を 休める 暇すらなかったのです。
The Doctor—the quiet, kindly, peaceable, little Doctor!—you wouldn’t have known him, dealing out whacks you could hear a mile off, walloping in all directions.
静かで優しく、 平和主義 の小柄なドクターが――あの日ばかりはまるで別人でした。 一マイル先まで響くような 一撃 を繰り出し、 四方八方へ 叩きのめす 勢いでした。
As for Bumpo, with staring eyes and grim set teeth, he was a veritable demon. None dared come near that wicked, wide-circling door-post.
バンポに至っては、 目をむき出し にし、歯を食いしばり、 まさに 鬼神 のごとき姿でした。 あの 凶暴な 一撃を放つ広範囲な ドア枠 には、誰も近づけなかったのです。
But a stone, skilfully thrown, struck him at last. Down went the second of the Three. John Dolittle, the last of the Terribles, was left fighting alone.
しかし、 巧みに 投げられた石がついに彼に命中し、 恐るべき三人組の第二の男は倒れました。 最後に残った 恐るべき者 、ジョン・ドリトルだけが一人で戦い続けたのです。
Jip and I tried to fill the places of the fallen. But we were far too light and small. Another length of fence crashed, and the Bag-jagderags poured in like a flood.
ジップと私は倒れた仲間の代わりを務めようとしましたが、 あまりにも 軽量 で 小柄 すぎました。 柵の一部が再び崩れ、バグジャグデラグ族が 洪水 のように なだれ込んで きたのです。
“To the canoes!—Fly for your lives!” shouted the Popsipetels. But the Doctor and I never got the chance. We were knocked down by the sheer weight of the mob.
「カヌーのもとへ!――逃げろ!」 とポプシペテル族は叫びました。 しかしドクターと私は機会を得られませんでした。 群衆の 衝撃 と 圧倒的 な重みに押され倒されてしまったのです。
We were sure we’d be trampled to death. But then, above the din of battle, came the most terrifying noise: millions of parrots screeching in fury.
踏み潰されて死ぬのは確実だと思いました。 しかしその時、戦いの 喧噪 をかき消すように、 何百万ものオウムが激怒して 金切り声 を上げる、 この上なく 恐ろしい 音が響いたのです。
Polynesia’s rescue army darkened the sky to the west. She said later it numbered between sixty and seventy millions— in that short time she had brought them from South America!
ポリネシアの救援軍は西の空を 覆い尽くす ほどの大群でした。 彼女によれば、6000万から7000万羽はいたそうです―― ほんの短時間で南米から呼び寄せたのです!
If you’ve heard a parrot screech angrily, you know it’s a frightful sound. And their bite can be nasty and painful.
オウムが怒って 鳴き叫ぶ 声を聞いたことがあれば、 それがどれほど 恐ろしい 音かお分かりでしょう。 さらに彼らの噛みつきは 不快 で 痛烈 なのです。
The Black Parrots—coal-black bodies with scarlet beaks—on Polynesia’s command attacked the Bag-jagderags now pouring through the village. Their method of fighting was very peculiar.
黒い体に真紅のくちばしを持つブラック・パロットたちは、 ポリネシア の号令一下、 村に押し入っていたバグジャグデラグ族を攻撃し始めました。 彼らの戦い方はとても 奇妙 なものでした。
Three or four parrots settled on each man’s head, clipping snips out of his ears as though punching tickets. They bit nowhere else. But it won the war.
一人の頭に三、四羽のオウムが とまって、 まるで切符に穴を開けるように耳を 切り取って 回ったのです。 パンチする かのごとく、他の部分は噛まず、 しかしそれで彼らは戦いに勝利しました。
The Bag-jagderags fled in haste from the village. Some escaped with only a snip or two. Others had their ears scalloped like the edge of a postage-stamp.
バグジャグデラグ族は村から 大慌て で逃げ出しました。 わずかに耳を少し切られただけで逃れた者もいれば、 切手の縁のように耳を 波形に されてしまった者もいました。
This did them no permanent harm. Later it became their tribal mark, and they were called the Ragged-Eared Bag-jagderags by other Indian nations.
これは 後遺症 を残さなかったものの、 後に彼らの 部族的な印 となり、 他のインディアンたちから「耳がボロボロのバグジャグデラグ族」と呼ばれるようになりました。
Once the village was cleared, the Doctor turned to the wounded. Few were seriously hurt. Long Arrow was worst off, but soon felt better. Bumpo was only badly stunned.
村から敵が一掃されると、ドクターは 負傷者 の救護に取りかかりました。 重傷者はほとんどおらず、ロングアローの状態が最も酷かったものの、 すぐに回復を感じ始めました。 バンポは強く 打たれて 意識が朦朧としていた程度でした。
The Doctor told Polynesia to have the Black Parrots drive the enemy back, guard them all night. With one word from her, those millions of parrots let out their terrifying scream again.
ドクターはポリネシアに、ブラック・パロットたちを率いて敵を 追い返し、 夜通し見張るよう指示しました。 彼女の一声で、何百万ものオウムが再び 恐るべき 金切り声を上げたのです。
The Bag-jagderags fled helter-skelter to the mountains, Polynesia’s army following behind like a giant black cloud. The Doctor picked up his hat and shook his fist at the hills.
バグジャグデラグ族は 蜘蛛の子を散らす ように山へ逃げ、 ポリネシアの大軍は黒い雲のごとく後を追いました。 ドクターは帽子を拾い上げ、丘に向かって 拳 を振りました。
“To-morrow,” he said, “we’ll arrange peace terms in the City of Bag-jagderag!” His words were met with cheers of triumph. The war was over.
「明日、バグジャグデラグの都で 和平 条約を取り決めるぞ!」 と彼は言いました。すると大きな 歓声 があがりました。 戦いは終わったのです。