『ファウスト』のカラフル対訳について
カラフル対訳で紹介している『ファウスト』は、パブリックドメインの作品を出典としています。
このサイトで使われている作品は、著作権の切れた名作などの全文を電子化し、インターネット上で公開している Project Gutenberg(プロジェクト・グーテンベルク)、 および朗読音声を公開している LibriVox(リブリヴォックス/朗読図書館) の作品を出典としています。
原文はProject Gutenberg、音声はLibriVoxで公開されているパブリックドメイン作品を出典としています。
『ファウスト』英文/和訳 Part 1 献辞
ゲーテ『ファウスト』第一部の冒頭「献辞」です。過去の記憶、失われた人々、若き日の感情がよみがえる、非常に詩的な導入部分です。
Ye wavering shapes, again ye do enfold me, As erst upon my troubled sight ye stole;
揺らめく姿よ、あなたたちは再び私を包み込む。かつて、私の乱れた視界にそっと忍び寄ったときのように。
Shall I this time attempt to clasp, to hold ye? Still for the fond illusion yearns my soul?
今度こそ、あなたたちを抱きしめ、つかまえようとするべきなのか。私の魂は、なおもその甘い幻影を求めているのか。
Ye press around! Come then, your captive hold me, As upward from the vapoury mist ye roll;
あなたたちは私のまわりに押し寄せてくる。ならば来るがよい。私をあなたたちの虜として抱きとめよ。霧のようなもやの中から立ちのぼってくるがよい。
Within my breast youth’s throbbing pulse is bounding, Fann’d by the magic breath your march surrounding.
私の胸の内では、若き日の高鳴る鼓動が跳ねている。あなたたちの歩みにまとわりつく魔法の息吹にあおられて。
Shades fondly loved appear, your train attending, And visions fair of many a blissful day;
愛しき影たちが現れ、あなたたちの列に付き従う。そして、数々の幸福な日の美しい幻もまた姿を見せる。
First-love and friendship their fond accents blending, Like to some ancient, half-expiring lay;
初恋と友情は、懐かしい響きを交え合う。それは、古い、消えかけた歌のようである。
Sorrow revives, her wail of anguish sending Back o’er life’s devious labyrinthine way;
悲しみはよみがえり、苦悶の嘆きを送る。人生の曲がりくねった迷路のような道を、はるか後ろへと響かせながら。
And names the dear ones, they whom Fate bereaving Of life’s fair hours, left me behind them grieving.
そして悲しみは、愛しい人々の名を呼ぶ。運命が人生の美しい時間から奪い去り、私だけを後に残して嘆かせた人々の名を。
